17番 渡 部 浩
18番 赤 松 泰 伸
19番 本 宮 勇
20番 黒 川 洋 介
21番 河 野 忠 康
22番 欠 番
23番 堀 内 琢 郎
24番 栗 林 新 吾
25番 井 上 和 久
26番 村 上 要
27番 田 中 多佳子
28番 猪 野 武 典
29番 明 比 昭 治
30番 竹 田 祥 一
31番 岡 田 志 朗
32番 井 原 巧
33番 欠 番
34番 成 見 憲 治
35番 藤 田 光 男
36番 笹 田 徳三郎
37番 帽 子 敏 信
38番 横 田 弘 之
39番 仲 田 中 一
40番 薬師寺 信 義
41番 寺 井 修
42番 西 原 進 平
43番 清 家 俊 蔵
44番 中 畑 保 一
45番 土 居 一 豊
46番 森 高 康 行
47番 越 智 忍
48番 高 門 清 彦
49番 山 本 順 三
50番 山 本 敏 孝
51番 柳 澤 正 三
52番 篠 原 実
53番 谷 本 永 年
54番 玉 井 実 雄
55番 池 田 忠 幸
――――――――――
〇欠席議員 なし
――――――――――
〇欠 員 なし
――――――――――
〇出席理事者
知事 加 戸 守 行
副知事 吉野内 直 光
出納長 永 野 英 詞
理事 服 部 和 良
公営企業管理者 和 氣 政 次
総務部長 金 谷 裕 弘
企画情報部長 夏 井 幹 夫
県民環境部長 石 川 勝 行
保健福祉部長 松 岡 誼 知
経済労働部長 高 浜 壮一郎
農林水産部長 喜 安 晃
土木部長 大 内 忠 臣
教育委員会委員 星 川 一 治
教育委員会委員教育長 野 本 俊 二
人事委員会委員 青 野 正
公安委員会委員 川 上 昭 一
警察本部長 小 谷 渉
監査委員 小 川 一 雄
――――――――――
〇
出席事務局職員
事務局長 佐 野 武 秀
事務局次長総務課長事務取扱 岩 崎 充 尋
参事議事調査課長 北 川 一 德
政務調査室長 篠 崎 泰 男
副
参事総務課長補佐 窪 田 克 博
議事調査課長補佐 玉 井 省 三
――――――――――
〇本日の会議に付した事件
定第107号議案ないし定第127号議案
――――――――――――――――
午前10時 開議
○(中畑保一議長) ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の
会議録署名者に井原巧議員、
高橋克麿議員を指名いたします。
――――――――――――――――
○(中畑保一議長) これから、定第107号議案平成15年度愛媛県
一般会計補正予算ないし定第127号議案を一括議題とし、質疑を行います。
○(玉井実雄議員) 議長
○(中畑保一議長) 玉井実雄議員
〔玉井実雄議員登壇〕
○(玉井実雄議員)(拍手)私は、議員活動の中で質問に立つことほど、議員として最高の勉強になり、また、県民の多くの方々に所属会派の政策方向はもとより、その人の人間性や政治姿勢を知っていただく最高の機会であると信じております。したがって、できることならば若手議員の方々が勉強し経験を積み早い成長を期待して、4期以上の者はできる限り若手議員に登壇の機会をとの風潮があり、議会質問から遠ざかっておりました。
しかし、今回は、近年、私なりに最も不安や不満を持っている農業問題に絞って、みずから申し入れて登壇の機会を得て質問をいたしますので、加戸知事を初め理事者の皆様方には明快な御答弁をお願いいたします。
質問の第1は、本県の農業政策についてであります。
「土に立つ者は倒れず 土に活きる者は飢えず 土を護る者は滅びず」これは明治・大正期の
農政学者横井時敬の遺訓であります。下って今日、土に立つ者、活きる者、そして土を護る気概のある者はめっきり減ってしまったのではないか、その原因の一つが農政の展開にもあるのではないかと、長年農業に携わってきた者として憂慮しているのであります。
我が国では、戦中戦後を通じて食糧大増産計画が進められ、食糧管理法による厳しい食糧統制のもと、現在の高齢者の方々は、一握りの米や麦、一切れの芋、小麦粉や野草等まで食卓に上げて、当時の食糧難時代を切り抜けてこられたわけであります。このことは、生きるための努力であり生活の知恵でもありました。また、当時すべての国民が農業の持つ重要性を身にしみて認識していたものであります。
昭和30年代に入って、食糧不足はある程度解消し、でん粉農業からビタミンの果樹農業へ、さらに、酪農・畜産・養鶏等たんぱく農業の振興が図られ、
高度経済成長とあわせて輸入農産物も急増し、欲しいものならいつどこでも自由に買い求められる飽食の時代となってまいりました。私は、我が国が過去の苦しい時代を忘れ、金さえ出せば幾らでも食糧は手に入るとおごり高ぶったキリギリスの国になっているのではないかと思うのであります。
一説によると、農産物、食料品は、国際化が進む中で、貿易自由化や生産技術の向上等により不足する時代はほとんどないのではないかとも言われておりますが、自然相手の農業は、天災地変による被害も当然考えられるのであります。
世界の人口は、今から30年後には、開発途上国を中心に約20億人増の約85億人と推定されておりまして、この時期には、地球規模の食糧不足の時代になるのではないかと思うのであります。
先進諸国では食糧の自給を確保すべく必死の努力をしており、平成10年度の食糧自給率は、アメリカ131%、イギリス77%、フランス140%、ドイツ96%であるにもかかわらず、我が国はわずか40%でしかなく、特に、穀物は27%という異常な事態になっているのであります。
これまで、食品関連の産業は、景気変動の影響を最も受けにくい産業と言われておりましたが、我が国経済の低迷が続き、
食料消費支出の減少や農産物価格の下落が見られる中、農業の低迷は過去に例を見ない重大な状況になっております。私は、このような状況がさらに長期にわたり続くとするならば、日本農業は壊滅的な打撃を受け、立ち直りは極めて困難な状況になると考えるのであります。
その上、本県においては、高齢化、少子化が進み農業後継者は極めて少なく、耕地面積はこの30年間で約2.8万ヘクタール減の5万9,800ヘクタールに、農家戸数も平成10年の6万4,420戸が平成14年には5万9,790戸、
農業就業人口は7万5,850人でうち65歳以上は4万1,620人にも達しているのであります。農業粗生産額も平成3年の2,005億円が平成13年には1,355億円と大きく減少しているなど、あらゆる面で後退しているのでありまして、愛媛農業は、何らかの改革を推し進めない限り、脆弱化の一途をたどるのではないかと危惧しているのであります。
さらに、
農業生産活動は、地球温暖化、産業発展に伴う環境汚染、水資源等、地球環境問題と密接に関係しており、農業の持つ多面的な機能の重要性が強く認められ、国民の多くが安心・安定した食糧の確保とともに強い関心を持ってきたにもかかわらず、最近特に、農協の光センサー選果機不正入札問題、金銭に関連する不祥事、生産地表示の偽装等、国民の信頼を大きく裏切る結果の続出は、生産者にとっても大きな不信感となり、経済的打撃も受けておりまして、まさに愛媛農業、愛媛農協の大きく後退していく姿ではないかと懸念しているのであります。
そこでお伺いいたします。
農家にとって、今後の農政の展開方向は最大の関心事であり、将来の生活がかかった重大事でありますが、県は、現在の農業情勢を踏まえ、愛媛農業をどのように推進していくのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
また、国際化が急速に進み、農作物の貿易は、米などの高関税品目はあるものの、ほとんどの品目が自由化に近い状態にありまして、特に、生産コストの安い開発途上国、広大な土地で大型機械を駆使できる好条件下にある農業国、輸出農産物に価格補てんまでして輸出奨励を進める国がある中、我が国の労働賃金は世界的に見ても極めて高いレベルにあり、地形や狭隘な耕地条件にある農地は、労働生産性も低く、生産資材の肥料農薬、機械器具等も高単価で、生産コストが高水準になっております。
国産農産物は、国際競争力に大きな問題があるわけでありますが、輸入農産物に対しどのように対応していくお考えなのか、お伺いしたいのであります。
質問の第2は、地域特性を生かした愛媛農業についてであります。
愛媛農業は、昭和30年ごろから
かんきつ王国へと急成長し、愛媛のミカンは、品質量ともに全国一の座を長年維持しているのであります。また、生食用の販売と同時に価格の安定化を図るため、日本で初めて加工事業に着手いたしまして、元知事であられた久松定武氏が名づけられた「
POMジュース」として、国内はもとより海外にまで輸出しミカン産業に大きく貢献してきたところですが、この加工事業も社会情勢や国際情勢、さらには消費動向の変化等により大きく後退しております。
ミカンの全国出荷量は、最盛期には380万トンあったものが今では110万トン台まで減少し、出荷調整しても価格は低迷を続けているため、国、県、団体等が補てんを余儀なくされているところでございます。
本県では、
かんきつ農業の占める割合は極めて大きく、その
かんきつ農業の後退は、本県農業に大きな打撃を与えているわけでありますが、私は、今の耕作地すべてが
かんきつ栽培に適しているとは思えないのであります。
平成13年の本県農産物粗生産額の
市町村別品目順位1位を見てみますと、米が22市町村、ミカンが17市町村、伊予カンが4市町、養豚が9市町村となっておりまして、粗生産額の中でミカンを中心とする果樹の占める割合は、平成10年の40%が平成13年には33%にまで減少しており、本県でも農作物の品目の転換が図られつつあるのではないかと思っております。
農業がその地域において成功するか否かの最も重要な問題は、栽培地でつくる農作物の種目が、その土地の気象条件、地形風土、
土質水質水量等の自然条件にいかに適合しているか、そして、農業にかける農家の方々とそれをリードしていく指導者が一体となり、いかに立派な実績を上げるかであります。その実例は、八幡浜、西宇和郡、北宇和郡や
宇和島等南予や越智郡島嶼部を中心としたミカン、松山市、温泉郡、北条市等で主力を占める伊予カン、道前平野を中心とした米麦などであります。
ミカン一色の産地である八幡浜でも、海抜の高い五反田地区は富士柿の立派な産地であります。また、宇摩郡土居町を中心とした里芋、山の芋等の特産地が古くからあるのは、やまじ風の害を防ぐための最高の発想であったと考えられるのであります。その他、周桑郡にも栽培を始めて100年余の歴史を持つ愛宕柿の例があります。このように規模は小さくてもその地域の特産物として成功している例があるのであります。
そこでお伺いをいたします。
適地適作の原点を重視して、県内の各地域の生産状況や今後の消費動向等を十分考慮に入れ、地域特産を生かした
生産指導体制に取り組んではどうかと思いますが、理事者の御見解をお聞かせください。
次に、
青果物生産出荷体制の合理化についてお伺いします。
「愛媛産には、愛がある。」これは地産地消の代名詞のように使われ、本県の農林水産物の消費拡大にすばらしい効果が上がっているところでありますが、これも加戸知事が先頭に立ってキャッチフレーズのPRを行うなど、県挙げての努力のたまものであると思うのであります。
県産農産物を県内消費に大きく変えていくことは、選果、
荷づくり輸送、販売等に係る経費が大幅に削減され、生産者にとっては手取り価格の増加に役立っているところでありまして、本県の主力農産物であります青果物におきましても、かなり浸透しております。
青果物の流通形態は、最近では産地直売所、インターネット、ゆうパック等、中間コストをできる限り引き下げた販売方法も増加してきておりますが、やはり従来から農協において
集荷選別荷づくりを行い、
全国中央市場や
地方卸売市場に向けての
共同出荷販売が主力であります。青果物の選果、荷づくりには、労働力の多くを季節的に必要とし、また、資材、輸送等に要する費用も大きく、農家の手取り価格は、
市場販売価格の5割から7割程度にとどまっているのが現状であります。このことが流通上最大の欠点であり、時によっては、農家の生産費にまで影響を及ぼし赤字経営になることもあります。この問題の解消には、高い人件費を多く必要とする
青果荷づくりの機械化が重要であると考えるところでありますが、安価な青果物では、それを負担する農家は、さらに経済的に不安定になってしまうのであります。
そこでお伺いいたします。
県は、青果物の荷づくりの簡素化経費の削減等、流通の合理化にどのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に、
耕作放棄地対策についてお伺いします。
本県の農業・農村を見ますと、輸入農産物の増加に伴う農産物価格の低迷や高齢化の進行、担い手不足などにより、荒廃園や放任園が、中山間地域や島嶼部などの
条件不利地域のみならず優良な平地果樹園にまで広範囲に及んでおります。耕作放棄地は、雑草の繁茂や病害虫の発生など、近隣農地へ悪影響を及ぼすだけでなく農地や灌水施設の集団的利用の妨げとなっているほか、農地の持つ洪水防止や水源涵養などの多面的機能への支障が懸念されております。
耕作放棄地を抜本的に解消するためには、農業の振興と担い手の
育成確保対策を一体的に推進することが不可欠であることは申すまでもありませんが、言うは易く行うは難しであります。
しかしながら、本年3月に完成した丹原町における
アグリチャレンジャー支援事業によるリース農園には、2,000平方メートルのハウス6棟に、学卒者や他産業経験者など20代の若者2名を含む6名の農業者がバラ栽培を開始し、大きな成果を上げているのであります。このような新しい取り組みについては、地域の若い農業者の関心も高く、私は、このリース農園は、地域農業の担い手の確保育成と
耕作放棄地対策を一体的に推進する方策の一つであると考えるのであります。
そこでお伺いします。
県は、このようなリース農園をどのように評価し、今後、
耕作放棄地対策にどのように取り組んでいかれるのかお伺いしたいのであります。
次に、
農業改良普及事業についてお伺いします。
農業改良普及事業は、農業の進展、農家の健全経営に重要な役割を果たしております。本県では、県下各地の
中央農業改良普及センターや普及室に235名の職員を配し、農業試験場、果樹試験場、畜産、養鶏の試験場等にも実に優秀な人材を配置し、厳しい農業情勢の中、
農業関連組織や農家に積極的な指導が行われております。
私も、農協人として幅広い農協活動の中で、生産指導や後継者育成については、特に意を払っておりますが、行政と農協の緊密な不離一体的な体制が確立されますと、農業振興のためのあらゆる事業が極めて円滑かつスピーディーに進み、立派な実績が上がることを非常に多く経験しております。
また、
農業改良普及制度については、行政改革の推進などに伴い機構改革や配置転換等が進められ、また、国でも普及事業の検討を行っているところでありますが、特に、このことに関しては、激変していく農業の諸情勢を十分に検討し、市町村並びに地域で農業が占める経済性の重要度、
農業従事者の農業振興への意欲やその地域の農家戸数、
農業従事者数等各般にわたって十分な検討の上、地域において実効の上がるよう適所に配置すべきではないかと思うのであります。
加えて、県農政の最大目標である農産物の安定した生産流通と販売は、
県下農業協同組合の念願であり、経済的にも後継者に魅力ある農業の構築ができるか否かにかかっております。これには営農体制の充実こそ最大の効果が期待できるものであり、すぐれた技術と指導力を持った普及職員など、県の農業技術者と
農協営農指導との連携を密にして成果を上げることが必要と考えるのであります。
そこでお伺いいたします。
農業・農村への総合的な指導力を発揮するため、
農業改良普及センターをどのように見直し、センターと農協、市町村等との連携をどのように進めていくのか、御所見をお伺いしたいのであります。
次に、本県の食の安全・安心についてお伺いします。
農業・農村は、限りある資源の循環、環境との共生を実現する上で、重要な役割を果たすとともに、人の命を支える食料を供給するという使命を担っております。しかしながら、
牛海綿状脳症の発生に端を発して、食品表示の偽装、さらに輸入野菜等の残留農薬、無登録農薬の販売・使用の問題が次々と発生し、命を支える食の安全と安心について県民の信頼は大きく揺らいでおり、食品の安全性を確保するための対策が今まで以上に必要であると痛感しているところであります。
国では、国民の健康の保護が最も重要であるとの基本的認識のもとに、食品の生産から消費に至る各段階において、必要な措置を適切に講じることや、国民の意見に配慮しながら施策を推進するなどの基本理念とした
食品安全基本法を本年7月施行し、新たに内閣府に設立された
食品安全委員会を中心に、
関係各省連携により、食品の安全性の確保を総合的に推進すると聞いております。
本県でも、
牛海綿状脳症や無登録農薬の使用等の問題が発生した際には、その都度、関係各部局間の連絡組織を設置し適切に対応をされておりますが、今後、ますます増大すると思われる食品に対する安全・安心への県民の要望に対し、さらには
県内食品関係産業の健全な発展を図っていくためにも、食の安全・安心について、農林水産物の生産から製造、加工、流通、消費に至るまでの各過程において部局を横断した総合的な施策を推進することが必要であると思うのであります。
このことにつきましては、昨年の12月議会におきまして、我が党の清家議員が同様の質問をいたしておりますが、
食品安全基本法の成立を受け、全国の多くの自治体が、食品の生産から消費に至る各過程で総合的な施策を推進できるような
食品安全行政の構築を図っていると聞いております。
本県におきましても、食の安全・安心に係る問題をより深く受けとめ、県民が安心して食生活を送れるようにするため、不安や不信を払拭すべく対応を図るべきではないでしょうか。
そこでお伺いいたします。
県では、食の安全・安心を一元的に推進するための
庁内体制整備を検討するとのことでありましたが、その
取り組み状況と今後の食の安全・
安心推進対策をどのように進めることとしているのかお伺いしたいのであります。
質問の最後は、愛媛農政にとって、かつて例を見ない不祥事となった光センサー問題についてお尋ねいたします。
既にこのことが一部で取りざたされ始めて1年余が経過いたしました。これまで
農林水産委員会が中心になり、広い角度から検討議論が重ねられ、この間、県独自の調査はもとより識者等による
第三者委員会において真相の究明が図られ、最大限の調査結果を発表されたところでありますが、
新聞テレビ等多くの報道機関により連日長期にわたって報道され、県民の異常な関心を呼ぶような結果となったことは、返す返す残念であり、農協に席を置く者の一人としても、大変遺憾に思うのであります。
また、本県には、
農林水産行政について全国的にも有名な指導者が多く輩出され、国と本県の関係は極めて円滑でありまして、適切な御指導をいただいてまいったところでありますが、その長年にわたる御好意に報いることができず、まことに申しわけなく思っているのであります。
このたびの不祥事はあってはならないことであり、既に本県自体で告発し、司直の手に移っておりますが、県庁内部においても、知事みずからが厳罰を科し、関係者に対しても厳しい処罰が実施されております。
このような経過の中で、JA西宇和に限らず国や関係市町村が助成している補助金はどうなるのか、さらに、新規計画中の事業凍結はいつ解けるのか、長期にわたるミカン価格の低迷、農家の高齢化や後継者不足など厳しい状況の中での出来事だけに、農家はもとより消費者からの農協に対する大きな不信感が、農協批判や農協離れにつながりはしないか、また、農家の園地放任にまで影響を与えはしないか不安でならないのであります。
いずれこの問題の真相は解明され、社会の理解を得られる結論が出るとは思いますが、農家感情や経済影響を考え農協の今後を思いますと、今、最も急を要することは、国と県との信頼関係の一日も早い修復、正常化であります。既に加戸知事は、農林水産省に陳謝し、
農林水産部関係職員もおわびやら今後のお願いに動いてはおられますが、このままでは
ミカン王国愛媛のミカンがさらに後退するのみならず、農業全般にまで影響が及ぶのであります。
そこでお伺いいたします。
光センサー問題の弊害を最小限度に食いとめ、農家や農協に明るさが生まれ、希望の持てる農業・農村の再構築ができるよう総力を挙げて努力をしなければならないと思いますが、御所見をお伺いしたいのであります。
幸い本県には、国会議員の先生方や政治力の極めて高い加戸知事がいらっしゃいますので、知事を先頭に県議会も市町村議会も一体となり、最善の努力をすることを心から念願をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(中畑保一議長) 理事者の答弁を求めます。
○(加戸守行知事) 議長
○(中畑保一議長) 加戸知事
〔加戸守行知事登壇〕
○(加戸守行知事) 玉井議員の質問に答弁をさせていただきます。
質問全体を通じまして、玉井議員の農業にかける思いを拝聴さしていただき、しっかりと受けとめさしていただきました。
まず、冒頭、現在の農業情勢を踏まえ、愛媛農業をどのように推進していくのかとの愛媛の農業政策に関するお尋ねがございました。
農業・農村は、新鮮で安全な食料の安定的な供給という役割に加えまして、自然環境と調和した生産活動を通じて、国土や自然環境の保全、農村文化の継承など、多面的な機能も有しておりますことから、将来におきましても、その機能が十分に発揮されますよう持続的な発展を図っていかなければならないと考えております。
お話のございましたように、本県の農業を取り巻く状況は、生産者の高齢化や担い手不足、耕作放棄地の増加など、極めて厳しい課題を抱えているところであります。特に数字で見ますと、特徴的な点は、県内におきます就業人口の中で、
農業就業人口が占める割合は8%に上っております一方、県内総生産において農業の果たしている役割は、わずか1.8%と就業人口とこの県民総生産との間の大きな乖離は、産業として農業を支える一番困難な面を数字が示していると考えてもおります。
一方におきまして、21世紀は食料・環境の世紀とも呼ばれておりまして、生命産業としての農業が大きくクローズアップされております中で、都市住民の自然や農村に対するあこがれや食料に対する安全・安心の志向は、かつてない高まりを見せているところでもございます。
こうした現状を踏まえまして、県といたしましては、新農業ビジョンや国の農政の展開方向に沿いながら、まずは、中核的な経営体の育成と集落営農の構築等多様な担い手の確保・育成、そして、小規模産地も含めた銘柄産地の育成対策、さらには地産地消などの多彩な販売活動の展開、それに加えて消費者の信頼を取り戻すための食の安全・安心の確保、そして、都市と農村の交流による農村の活性化等々、さまざまな形で魅力と活力に満ちた農業・農村の創造に向けて全力で取り組んでいるところでもございます。
今後は、さらにこれらの施策を積極的に進めますとともに、一段と厳しさを増しております農業・農村の現状を再認識した上で、各方面からの御意見をいただき、新農業ビジョンの点検をしながら、農業・農村の再構築ができる新たな農政の展開方向を真剣に探ってまいりたいと思っております。
次に、リース農園をどのように評価し、今後、
耕作放棄地対策にどのように取り組んでいくのかとの質問がございました。
農業経営に必要な施設や農地を一体的に長期間貸し付けるリース農園は、資金力や信用力に乏しい新規就農者等が農業を開始する場合の初期投資が抑えられますことから、担い手の確保や産地の形成等に効果的な方法であると高く評価いたしております。例えば、東予地域における遊休農地等を活用した西日本一のバラ産地育成への取り組みにつきましては、県としても支援をしているところでございまして、リース農園方式が極めて有効に機能している大きな例だと考えてもおります。
県では、優良農地の耕作放棄防止のため、平成13年、県、市町村、農協等で構成いたします
耕作放棄地対策推進班を設置し、研修会の開催、パンフレット等の作成を通じ啓蒙活動を展開いたしますとともに、集落営農組織の法人化、土地基盤や市民農園の整備、認定農業者の農地利用集積に対する奨励金の交付等の措置を講じてきたところでございます。
また、今般、国では、農業経営基盤強化促進法が改正されまして、遊休農地所有者への利用計画の届け出の義務づけと過料の徴収を含めました厳しい措置が講じられましたことから、県でも、今回、緊急に耕作放棄地の実態調査を行いまして、新規作物の導入や農地の利用集積等有効な活用策を検討いたしますなど、引き続き市町村やJA等と連携しながら、担い手の確保と農地の保全管理を一体的に推進して地域農業の元気創造を図ってまいりたいと考えております。
次に、光センサー問題の弊害を最小限度に食いとめ、希望の持てる農業・農村の再構築ができるよう総力を挙げて努力すべきと思うがどうかとのお尋ねでございました。
この光センサー選果機問題の影響を最小限に食いとめますためには、一日も早い真相解明と、それとあわせて行政と関係JAが一丸となった再発防止に取り組むことが重要であると考えております。
今後、このような事態が二度と起こらないよう、県内部では、公務員倫理等に関する意識啓発として部内での全体研修や補助事業担当職員に対する実務研修を行いますとともに、職場内における報告、連絡、相談体制の徹底を図ることといたしております。
また、市町村職員やJA役職員に対する指導を徹底し、県・市町村・JAがそれぞれの責任を果たしながら、適正な事業執行ができるような体制づくりに早急に取り組むことといたしております。
一度失った信頼を回復することは簡単ではないことを十分承知いたしておりますが、県民に信頼される体制をつくることにより、生産者が希望を持って農業に取り組むことができ、信頼されるミカン産地の再生が図られますよう全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
その他の問題につきましては、関係理事者の方から答弁させることといたします。
○(吉野内直光副知事) 議長
○(中畑保一議長) 吉野内副知事
〔吉野内直光副知事登壇〕
○(吉野内直光副知事) 玉井議員にお答えします。
私からは2点について答弁をさしていただきます。
まず、愛媛の農業政策についてのうち、国産農産物は、国際競争力に大きな問題があるが、輸入農産物に対しどのように対応していくのかとの点でございますが、近年、輸入が増大している海外農産物に対応していきますためには、高品質、安全、新鮮さなどの多様な消費者ニーズに的確に対応した付加価値のある農産物を提供する個性的な産地づくりと生産者の顔が見える安全・安心な農産物の供給を通じまして、消費者に信頼され、支えられる仕組みを構築するなど、輸入農産物との差別化が必要であると考えております。
このため、県では、かんきつの「愛媛中生」や「媛っこ地鶏」など優良品種の開発・導入、小さな面積でも高所得につながる施設栽培の導入促進など、輸入農産物に負けない高付加価値農産物の生産対策を進めておりますほか、残留農薬の調査・分析やトレーサビリティシステムの構築、特別栽培農産物等認証制度の創設による有機・減農薬栽培の推進、そして、地元産農産物の学校給食利用促進を初めとした地産地消の推進こういったことなど、安全・安心な農産物の供給対策などの取り組みに努めているところでございます。
WTO農業交渉など、国産農産物を取り巻く環境は依然として厳しい状況にございますが、今後は、さらに消費者の理解を得ながら、国産農産物の利点を生かした優位販売ができますよう、生産・流通・販売の各段階における対策の推進に努めてまいりたい、このように考えております。
次に、食の安全・安心を一元的に推進するための
庁内体制整備への
取り組み状況はどうか。また、今後の食の安全・
安心推進対策をどのように進めていくのかとの点でございますが、食の安全・安心につきましては、生産、加工、流通及び消費のすべての段階で総合的に取り組む必要がございます。そこで、庁内の関係部局が一元的に対応することが極めて重要であると考えております。
このため、県におきましては、この7月に施行されました
食品安全基本法の基本理念を踏まえまして、地方公共団体の責務としての施策を一元的に推進いたしますため、来月にも、副知事を本部長に保健福祉部や農林水産部など関係部長を本部員とする新たな庁内体制としまして、えひめ食の安全・安心推進本部、これを立ち上げまして、総合的で効果的な取り組みを図ることといたしております。
県としましては、県民の健康保護が最も重要である、こういった基本的認識のもとに、推進本部で安全・安心な農林水産物の生産、食品の加工・流通時における監視指導の強化などを内容とします基本方針を定めまして、この基本方針に沿った施策の充実強化を図りますとともに、ホームページなどを活用した県民への情報提供を積極的に行うなど、生産から消費に至る関係者が一体となった食の安全・安心対策を今まで以上に推進してまいりたい、かように考えております。
以上でございます。
○(喜安晃
農林水産部長) 議長
○(中畑保一議長) 喜安
農林水産部長
〔喜安晃
農林水産部長登壇〕
○(喜安晃
農林水産部長) 玉井議員にお答えをいたします。
まず、適地適作の原点を重視し、地域の生産状況や今後の消費動向等を十分考慮に入れ、地域特性を生かした
生産指導体制に取り組んではどうかとのお尋ねでございました。
近年、消費者の嗜好が多様化していることから、消費動向を的確に把握しながら、地域の特性を生かした個性的で付加価値の高い安全な農産物を安定的に供給する産地の育成が重要な戦略となっております。
このため、新農業ビジョンにおきましても、適地適作を基本に、高品質・高付加価値農業を推進することとしており、こうした農産物の生産や産地化に取り組む生産者等を支援するため、国で進めるブランド・ニッポン確立事業等を活用した計画づくりや農産物の導入・定着、21世紀型農業産地育成事業等を活用したきめ細かい生産条件の整備、特別栽培農産物等認証制度による付加価値づくり、普及活動を通じた組織づくりや栽培技術の指導等を推進しておりますが、今後とも、消費者ニーズに対応し地域特性を生かせる
生産指導体制の確立を図ってまいりたいと考えております。
次に、青果物の荷づくりの簡素化、経費の削減等、流通の合理化にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねでございますが、青果物の流通において、卸売市場が取り扱っている主要な17品目の販売価格を見てみますと、その36%が集出荷の販売経費となっております。流通コストの低減を図ることが、生産者の負担軽減となり、農業経営の安定への重要な課題となっております。
このため、県におきましては、青果物流通の改善・合理化を図るため、生産者団体が行う複数品目に対応した集出荷施設の整備、輸送車両の大型化に対応できる集出荷の効率化、契約取引を中心とした出荷規格の簡素化や通いコンテナの活用等を支援いたしまして、集出荷経費の削減を推進してきたところでございます。
今後とも、産地の状況に応じた総合的かつ効率的な集出荷施設の整備を推進いたしまして、荷づくり・包装作業等の合理化による出荷経費の削減につなげるとともに、流通・販売業者の要望に対応した効率的な鮮度保持対策や出荷包装容器の簡素化等流通の改善・合理化を支援してまいりたいと考えております。
最後に、
農業改良普及センターをどのように見直し、センターと農協、市町村等との連携をどのように進めていくのかとのお尋ねでございますが、県では、本年4月に農業改良普及組織の再編整備を行ったところでございますが、引き続き行政機関のスリム化、活性化に向けた地方機関のあり方等を検討しておりまして、今後、地方局農政部門との統合を含め、時代に適合した組織づくりを検討したいと考えております。
具体的な普及組織見直しに当たっては、直接農業者と接する普及員が、高度な技術・経営指導はもとよりでございますが担い手育成や集落営農推進などに機動的に対応し、今後とも特色ある産地の育成を通じ、農業・農村の新たな振興を図ることができるよう、専門技術部門の本局集中化による専門性の向上や地域の実情に合った普及体制の整備を検討したいと考えております。
また、普及事業の推進につきましては、農協や市町村等と実施する新たな産地づくりや担い手対策等、一体的に推進していくことが必要不可欠であると考えておりまして、農家が気軽に安心して相談できる体制づくりに向けて、現場からの熱い期待に迅速にこたえる営農・普及指導組織の連携強化に取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
○(中畑保一議長) 暫時休憩いたします。
午前10時47分 休憩
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午前11時3分 再開
○(中畑保一議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(今井久代議員) 議長
県といたしましても、高速道路の南予延伸は最重要施策として取り組んでいるところでございまして、今後とも、津島道路の計画策定作業等に積極的に協力いたしますとともに、早期の事業化を国等に強く要望してまいりたいと考えております。
また、2車線整備についてのお話がありましたが、本年7月に道路構造令が改正されており、津島道路につきましても2車線整備の導入が可能となったところであります。コスト縮減などにより早期整備が図られるのでありましたら、積極的な検討をお願いしたいと考えております。
以上でございます。
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○(中畑保一議長) 以上で本日の日程を終了いたしました。
明27日及び28日は、休日のため休会いたします。
29日は、午前10時から本会議を開きます。
日程は、全議案に対する審議の続行であります。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時42分 散会...